私(Kumiko)が教員をしていて気づいたことは、「行動=人格」という図式で人を見ていることが多いということです。たとえ、教育関係者であったとしても。それゆえに、傷ついている生徒がたくさんいました。以前にも書いたように、様々な問題を抱えた生徒が来ている学校でした。
問題行動を起こして、退学させられた生徒もいました。確かに、悪ふざけに度が過ぎ、他人に迷惑をかけ、ルールに違反しました。
その行動自体は、悪いことです。でも、その生徒は本当に悪い子なのでしょうか?全人格を否定されるようなことをたくさん言われ、その生徒は深く傷ついていました。優しいところも、友達思いなところも、たくさんある生徒だったのに…。
典型的なADHDの症状を持った生徒がいました。とにかく、授業中、じっと座っていられない。自分の好きなこと(バイク)に熱中してしまい、授業中であってもいきなりその話をしだしてしまう。それは、テスト中であっても同じです。教員である私がテスト監督のために目の前に立っていても、抑制が効きませんでした。そのため、途中退出させたこともありました。彼自身も、そのことで悩んでいました。
でも、彼にはとても優しいところがありました。誰にでも、分け隔てなく話しかけることができました。私が担任していた生徒に、場面緘黙(家では話すことができるのに外では全く話せない)の子がいました。その生徒に、彼は毎日、挨拶をしていました。いくら話しかけても返ってくることはなく、無視されて、急いで逃げ去られるだけなのに…。確かに彼には困ったところもあったけど、私は、彼にたくさん助けられました。
聞くところによると、彼は、飛び級で大学院に進学したそうです。大好きなバイクの勉強なら、寝食を忘れてできますものね!
一度信頼関係ができると、生徒たちはいろいろなことを話し出します。別にこちらが聞いてもいないのに。本当は、自分の話をちゃんと聞いてくれる人を探しているのかもしれません。ただ大人が話を聞くことよりも、指導することに一生懸命になってしまうので、子どもたちの話を聞き逃しているのかもしれません。ある生徒は、私にこんな話をしてくれました。
(生徒): 「先生、オレ、前科者やねん。」
(生徒): 「別にオレ、高卒資格なんかどうでもいいねんけどなー、
オレも、もうすぐ20歳になるし、
ちょっとは親孝行しなあかんやろー。」
(生徒): 「だからさー、こうやって学校に来ているわけよ。
先生、オレの気持ちわかってくれる?」
彼曰く、学校に来ることは親孝行なのだそうです。
(生徒): 「先生、オレ、子ども好きやねんやん。」
(生徒): 「ゲームセンターとかで子どもを見かけたら
遊んであげようと思って近づくやろー、
そうしたら、母親が目の色変えて飛んできて、
子どもを連れて行ってしまうわけよ。」
(私) : 「その恰好じゃ仕方ないかな?
子どもと遊びたいなら、とりあえず、ピアスを全部はずして、
髪の毛を黒くして、
それから、もう1回トライしてみたら?」
(生徒): 「やっぱり、そうやんなー。」
本当はとってもいい子なのに、ちょっと問題な部分を持っているだけ、そういう風にとらえられたら、きっと何かが見えてくるはず。